【技能実習】R7年の監督指導と送検等の状況が公表されました

厚生労働省はR8年9月15日、R7年に全国の労働基準監督署等が行った監督指導と送検の状況を公表しました。この記事では、違反率の推移・違反事項・業種別・申告・送検・相互通報の順に整理して紹介します。また、当事務所は行政書士事務所であり、労務管理そのものへの対応は行っておりません。

 本記事は、個別の労務管理に関する助言や指導を行うものではありません。

R7年の監督指導|13,148事業場のうち73.2%で違反

R7年、労働基準関係法令違反が疑われる13,148事業場に監督指導(立入調査)が行われ、そのうち9,619事業場(73.2%)で違反が認められました。

違反率は5年間ほぼ横ばいですが、実施事業場数は令和3年から4,000件以上増えています。なお参考値として、令和6年度に技能実習を実施した実習実施者数は71,985者(法人等の数)と公表されています。

数字を読むうえでの前提
この13,148事業場は、あらかじめ違反が疑われる事業場を選んで監督指導を行ったものです。したがって73.2%は実習実施者全体の平均ではありません。

多かった違反事項ワースト12

違反事項は、賃金よりも安全衛生関係が上位に来ているのが特徴です。件数と割合(監督指導実施事業場数に対する比率)は次のとおりです。

健康診断の実施よりも、結果についての医師等からの意見聴取(2位)のほうが多い結果となっています。実施後のフォローまで含めて手続きが完了する、という認識が重要です。

業種別の違反状況

公表資料では、技能実習の在留者が多い5職種に関連する業種について集計されています。違反率が最も高かったのは建設の80.2%でした。

業種によって指摘の中身が異なります。建設では賃金と休暇、製造業では機械の安全対策が中心です。

愛知県は外国人労働者数が249,076人と東京都に次ぐ全国2位であり、機械・金属製造や食料品製造の事業所が集積する地域です。上の表で件数が多い業種と重なるため、地域の受入れ企業に重要なデータといえます。

技能実習生からの申告は108件

申告とは、労働者本人が労働基準監督署等に法令違反の是正を求めて申し出ることです。令和7年の件数は108件で、令和4年の145件から減少傾向にあります。

申告内容の内訳は、賃金・割増賃金の不払が93件と大半を占め、次いで解雇手続の不備が15件、最低賃金額未満が7件でした

監督指導事例(是正勧告の実例)

公表資料には、是正勧告に至った3つの事例が掲載されています。要点は次のとおりです。

事例1|土木工事業(申告が契機)

週40時間超の労働に対する割増賃金が未払いでした。さらに、業務上の負傷の療養に健康保険を使用し、治療費を本人に負担させていた点も是正勧告の対象です。会社は不足額約110万円を支払い、本人負担分の返還も行いました。

事例2|金属製品製造業(玉掛け作業中の労災)

天井クレーンの運転について合図を定めていなかったため是正勧告。会社は合図を定めたうえで、外国人労働者にも理解しやすいようイラスト付きの掲示で周知しました。

事例3|金属製品製造業(プレス機械の労災)

安全装置や専用治具による措置が講じられていませんでした。あわせて月60時間超の時間外労働に対する5割以上の割増賃金が未払いだった点も指摘されています。

送検は26件|内訳と事例

重大・悪質と判断された事案は送検されます。令和7年の送検件数は26件で、内訳は労働安全衛生法違反が19件、労働基準法・最低賃金法違反が7件でした。

事例1|金属製品製造業

別条項付き36協定で定めた回数(1か月42時間超は6回まで)を超えて時間外労働をさせ、さらに偽装した労働時間記録を提出したケースです。

事例2|輸送用機械等製造業

ガス溶断の資格を持たない技能実習生に溶断業務をさせ、休業4日以上の労災を労働者死傷病報告として提出していなかった事案でした。

外国人技能実習機構との相互通報の状況

技能実習生の労働条件を確保するため、労働基準監督署等は外国人技能実習機構との間で法令違反の相互通報を行っています。令和7年の件数は次のとおりです。

さらに、強制労働など人権侵害が疑われる事案については合同監督・調査が行われ、令和7年は54事業場が対象となりました。

厚生労働省「外国人技能実習生又は特定技能外国人を使用する事業場に対して行った 令和7年の監督指導、送検等の状況を公表します」

みらい行政書士事務所「【特定技能】R7年の監督指導と送検等の状況が公表されました」

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