【特定技能】R7年の監督指導と送検等の状況が公表されました

厚生労働省はR8年9月15日、R7年に全国の労働基準監督署等が行った監督指導と送検の状況を公表しました。この記事では、違反率の推移・違反事項・業種別・申告・送検・相互通報の順に整理して紹介します。また、当事務所は行政書士事務所であり、労務管理そのものへの対応は行っておりません。

 本記事は、個別の労務管理に関する助言や指導を行うものではありません。

R7年の監督指導|8,082事業場のうち76.5%で違反

R7年、労働基準関係法令違反が疑われる8,082事業場に監督指導(立入調査)が行われ、そのうち6,179事業場(76.5%)で違反が認められました。

違反率はほぼ横ばいですが、監督指導の実施数は1年で2,332事業場増え、約1.4倍になりました。特定技能外国人を受け入れている特定技能所属機関の数はR7年末時点で62,996機関です(法人等の数)。

数字を読むうえでの前提
この8,082事業場は、あらかじめ違反が疑われる事業場を選んで監督指導を行ったものです。

多かった違反事項ワースト12

違反事項の上位には、賃金だけでなく安全衛生関係が並びます。件数と割合は次のとおりです。

違反事項件数割合
1使用する機械等の安全基準1,67620.7%
2健康診断結果についての医師等からの意見聴取1,34916.7%
3割増賃金の支払1,31516.3%
4労働条件の明示1,17914.6%
5労働時間1,09013.5%
6年次有給休暇1,01412.5%
7衛生基準88511.0%
8賃金の支払86610.7%
9就業規則83610.3%
10健康診断7419.2%
11賃金台帳3984.9%
12労働時間の状況の把握3494.3%

上位3項目は技能実習と共通しています。一方で、特定技能では労働条件の明示(14.6%)と労働時間(13.5%)の順位が技能実習より高い点が特徴です。

業種別の違反状況

公表資料では、特定技能1号の在留者が多い5分野に関連する業種について集計されています。違反率が最も高かったのは建設の81.4%でした。

業種によって指摘の中身は大きく異なります。飲食店では労働時間が33.9%と突出し、食料品製造では安全基準が39.0%にのぼりました。

一方、社会福祉施設(介護分野)では割増賃金の支払が最も多く、機械よりも賃金・労働条件面の指摘が中心です

愛知県は外国人労働者数が249,076人と東京都に次ぐ全国2位であり、工業製品製造や食料品製造の事業所が集積する地域です。上の表で件数の多い業種と重なるため、地域の受入れ企業にとって重要なデータといえます。

特定技能外国人からの申告は150件

申告とは、労働者本人が労働基準監督署等に法令違反の是正を求めて申し出ることです。令和7年の件数は150件でした。

主な申告内容は次のとおりです(申告事項が2つ以上ある場合は各々に計上)。

技能実習生からの申告108件と比べると件数は多く、賃金の不払が大半を占める傾向は共通しています。

監督指導事例(是正勧告の実例)

公表資料には、是正勧告に至った3つの事例が掲載されています。要点は次のとおりです。

事例1|金属製品製造業(電動工具による労災)

切断用の電動工具で太ももを切創する労働災害が発生し、立入調査が行われました。粉じん作業に従事する特定技能外国人へのじん肺健康診断が未実施だったこと、フォークリフト運転技能講習を修了していない者が運転していたことが是正勧告の対象です。会社は作業手順を見直し、母国語での教育を実施したうえ、講習修了者を表にして周知しました。

事例2|飲食店(長時間労働と年休)

特別条項付き36協定で定めた特別延長時間まで延長できる回数(6回)を超えて労働させていた点、10日以上の年次有給休暇が付与された者に1年以内の5日の時季指定が行われていなかった点が是正勧告の対象でした。会社は業務の一部をセントラルキッチンへ移し、1人当たりの業務量を軽減しています。

事例3|鉄鋼業(機械に手を挟まれる労災)

機械を停止せずに調整作業を行い、手を挟まれる災害が発生しました。完全停止を確認してから作業するよう是正勧告があったほか、母国語で作業手順を示す教育も指導されています。同工場では直近半年間で3件の労働災害が発生していました。

ポイント
3事例のうち2件は労働災害の発生が立入調査の契機です。いずれの事例でも、会社の対応として母国語による安全教育や掲示が挙げられています。

送検は9件|内訳と事例

重大・悪質と判断された事案は送検されます。

事例1|金属製品製造業

長時間労働の通報を契機に調査したところ、36協定の延長時間を超え1か月当たり100時間を超える違法な時間外・休日労働が判明したケースです。過去にも同様の違反が繰り返されていた点が重視されました。

事例2|食料品製造業

最大荷重1トン以上のフォークリフトの運転業務に、技能講習を修了していない特定技能外国人を就かせていた事案です。

出入国在留管理機関との相互通報の状況

特定技能外国人の労働条件を確保するため、労働基準監督署等は出入国在留管理機関との間で法令違反の相互通報を行っています。令和7年の件数は次のとおりです。

なお、東海地方の在留手続きを管轄するのは名古屋出入国在留管理局で、愛知・岐阜・三重・静岡・福井・富山・石川の7県を担当しています。特定技能所属機関が行う随時届出・定期届出などの手続きも、この管轄に沿って行われます。(参考:名古屋出入国在留管理局の場所・アクセスと申請の流れ)

厚生労働省「外国人技能実習生又は特定技能外国人を使用する事業場に対して行った 令和7年の監督指導、送検等の状況を公表します」

みらい行政書士事務所「【技能実習】R7年の監督指導と送検等の状況が公表されました」

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