愛知県の技能実習生数と育成就労制度への移行で変わること
「技能実習制度がなくなると聞いたが、いま受け入れている実習生はどうなるのか」—愛知県内で外国人を受け入れている企業から、こうした声が増えています。この記事では、愛知県の技能実習の実情と、育成就労に移ることで具体的に何が変わるのかをまとめました。
愛知県の技能実習生数は約4万8千人
愛知県は、全国の技能実習生のうち約1割が働く地域です。
令和7年10月末時点の愛知県の外国人技能実習生数は48,162人でした。同時点の全国は499,394人であり、愛知県だけで全国の約9.6%を占めています。
コロナ禍で減少し直近4年で急回復
| 愛知県 | 全国 | |
|---|---|---|
| 令和元年 | 43,210人 | 383,978人 |
| 令和2年 | 44,268人 | 402,356人 |
| 令和3年 | 36,834人 | 351,788人 |
| 令和4年 | 33,471人 | 343,254人 |
| 令和5年 | 38,887人 | 412,501人 |
| 令和6年 | 45,048人 | 470,725人 |
| 令和7年 | 48,162人 | 499,394人 |
令和7年には過去最多の水準に達しています。自動車産業を軸とした製造業の集積に加え、食品製造、建設、農業、介護など、技能実習生の受入れ分野が広く定着している地域性が背景にあると考えられます。
育成就労制度はいつから?
令和6年6月21日、「出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律」が公布されました。これにより、技能移転による国際貢献を目的とする技能実習制度は発展的に解消され、人手不足分野における人材の育成・確保を目的とする育成就労制度が創設されます。
施行スケジュールは次のとおりです。
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 令和8年4月15日 | 監理支援機関の許可に関する規定の施行(施行日前申請の受付開始) |
| 令和8年9月1日 | 育成就労計画の認定に関する規定の施行(施行日前申請の受付開始) |
| 令和9年4月1日 | 育成就労制度の運用開始 |
技能実習と育成就労はここが違う
| 項目 | 技能実習制度 | 育成就労制度 |
|---|---|---|
| 制度の目的 | 技能移転による国際貢献 | 人手不足分野の人材育成・確保 |
| 期間・区分 | 1号〜3号の区分あり | 区分を廃止し、通算3年以内の計画に一本化 |
| 転籍 | 原則不可(やむを得ない事情のみ) | 一定要件の下で本人意向による転籍が可能 |
| 日本語要件 | 制度上の一律要件なし | 就労開始前・1年経過時・終了時に段階的な水準を設定 |
| サポート | 監理団体 | 監理支援機関 |
目的が「国際貢献」から「人材育成・人材確保」へ
育成就労制度の目的は、育成就労産業分野において3年間の就労を通じて特定技能1号水準の技能を有する人材を育成し、あわせて当該分野の人材を確保することとされています。
対象分野は、特定技能の受入れ分野(特定産業分野)のうち、就労を通じて技能を修得させることが相当なものに設定されます。令和8年7月時点で特定産業分野19分野のうち育成就労産業分野の設定がないのは自動車運送業分野と航空分野のみとされています。
原則3年の計画に一本化
技能実習にあった1号・2号・3号の区分は廃止されます。育成就労では、期間の通算が3年となる「育成就労計画」を作成し、外国人育成就労機構の認定を受ける仕組みになります。計画には期間、技能・日本語能力の目標、内容などが記載されます。
本人の意向による転籍が一定要件の下で可能に
技能実習では原則認められなかった本人意向の転籍が、同一業務区分内に限り、一定の要件を満たす場合に認められるようになります。
公表されている主要な要件は以下のとおりです。
- 技能・日本語の能力:一定水準の技能、日本語の能力を修得していること。
- 転籍制限期間の経過:直近の育成就労実施者の下で育成就労を行わせる必要のある「転籍制限期間」を超えて育成就労の対象となっていること。
- 職業紹介の制限:転籍に当たって、民間の職業紹介事業者による職業紹介等を受けていないこと。
- 転籍先の質:転籍先の育成就労実施者が優良な育成就労実施者であること。
- 転籍者の割合:転籍先が受け入れている育成就労外国人の総数のうち、本人意向の転籍を行った者の割合が一定以内であること。
- 費用の精算:転籍先の育成就労実施者が、転籍元の育成就労実施者に対して一定の金額を支払うこととしていること。
日本語要件
日本語については、段階的な水準が新たに設定されます。
| 段階 | 求められること |
|---|---|
| 就労開始まで | A1相当以上の試験に合格、またはそれに相当する日本語講習の受講 |
| 開始から1年以内 | 中間的評価として、A1相当の日本語能力を修得し試験を受験すること |
| 育成終了時(3年) | A2相当の日本語能力を修得し試験に合格すること |
監理団体は監理支援機関の許可が必要
技能実習制度の監理団体も、監理支援機関の許可を受けなければ監理支援事業を行うことができません。
また、外部監査人の設置が必須となり、要件として、弁護士・社会保険労務士・行政書士の有資格者その他育成就労の知見を有する者等が挙げられています。
いま受け入れている技能実習生はどうなるのか
結論として、施行日をまたぐ技能実習生は「技能実習」の在留資格のまま実習を続けられます。ただし入国期限や3号への移行には条件があり、資料上は施行から3年を目途に技能実習が終了し、以降は育成就労制度のみとなります。詳細は別の記事でまとめます。
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