【まとめ】育成就労 工業製品製造業分野の分野別運用方針・上乗せ基準
育成就労制度は、2027年4月1日から運用が開始されます。工業製品製造業分野については、分野別運用方針が閣議決定され、上乗せ基準告示が公布されました。
工業製品製造業分野における育成就労の位置づけ
育成就労制度は、技能実習制度を発展的に解消して創設された制度で、我が国での3年間の就労を通じて特定技能1号水準の技能を有する人材を育成するとともに、当該分野における人材を確保することを目的としています。
工業製品製造業分野(以下「製造業分野」)の育成就労外国人受入れの趣旨として、「製造業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を有する人材を育成するとともに、当該分野における人材を確保する」と定められています。
育成就労から特定技能1号・2号へのキャリアパス
製造業分野のキャリアパスは、育成就労(通算3年)から特定技能1号(通算5年)へ進み、さらに一部の業務区分では特定技能2号へ移行するという流れになります。特定技能2号は通算在留期間の制限がなく家族帯同も可能です。
特定技能2号への移行は、「機械金属加工」「電気電子機器組立て」「金属表面処理」の3業務区分のみです。
特定技能2号への移行には、製造分野特定技能2号評価試験およびビジネス・キャリア検定3級の合格(または技能検定1級)に加え、日本国内に拠点を持つ企業の製造業の現場における実務経験が要件とされています。
技能実習との最大の違い ― 「産業分類」要件の新設
技能実習制度では「職種・作業」に該当するかどうかで受入れの可否が判断されていました。
育成就労制度の製造業分野では、下記2軸で見られることとなりました。
- 従事させる業務が17の業務区分のいずれかに該当すること
- 育成就労を行わせる事業所が告示で定める76の産業分類のいずれかを行っていること
自社の事業所がどの産業分類に該当するかの確認は、制度準備の最初のステップとして不可欠です。
2027年9月時点で、経済産業省は特定技能・育成就労いずれについても対象産業分類を76分類としており、特定技能2号については46分類となっています。
受入れ見込数と人手不足の状況
分野別運用方針では、令和11年(2029年)3月末までの受入れ見込数が次のとおり定められています。
| 区分 | 受入れ見込数(2029年3月末まで) |
|---|---|
| 特定技能1号 | 199,500人 |
| 育成就労 | 119,700人 |
| 分野合計 | 319,200人 |
まず産業需要等を踏まえた「必要就業者数」を推計し、そこから「就業者数」を差し引いて「人手不足数」を算出し、さらに「生産性向上による人材確保相当数」と「国内人材確保数」を控除して残る部分を受入れ見込数とする、という構造です。
前提として、省人化と国内人材確保で対応してもなお残る不足分を補うイメージです。
製造業分野の育成就労枠119,700人は建設分野の123,500人に次ぐ規模ですが、母集団となる事業所数も極めて多いため、受け入れ見込数到達までのペースを注視する必要があります。
業務区分と従事できる業務
製造業分野において設定する業務区分および従事する業務は、特定技能制度と同一とされています。業務区分は17区分です。
| 機械金属加工 | 電気電子機器組立て | 金属表面処理 |
| 紙器・段ボール箱製造 | コンクリート製品製造 | RPF製造 |
| 陶磁器製品製造 | 印刷・製本 | 紡織製品製造 |
| 縫製 | 電線・ケーブル製造 | プレハブ住宅製品製造 |
| 家具製造 | 定形・不定形耐火物製造 | 生コンクリート製造 |
| ゴム製品製造 | かばん製造 |
受入れ可能な事業所の日本標準産業分類
育成就労事業所が日本標準産業分類に掲げる産業のうち定められたいずれかを行っていることを求めています。対象は76分類で、中分類レベルのものから、細分類レベルで限定条件が付されたものまで幅広く列挙されています。
愛知県の製造業に関係が深いものとしては、小分類311「自動車・同附属品製造業」などが挙げられます。
技能・日本語能力の段階的要件
育成就労では、時点ごとに求められる技能水準と日本語能力水準が段階的に設定されています。
| 時期 | 技能水準 | 日本語能力水準 |
|---|---|---|
| 就労開始まで | 要件なし | A1相当以上を基本 |
| 1年経過時まで | 技能検定基礎級または相当する育成就労評価試験に合格 | 就労開始前までに試験に合格していない場合は、この時点までに当該試験に合格 |
| 本人意向の転籍時 | 一定の水準の技能を修得していること | 一定の水準の日本語能力を有すること |
| 育成就労終了まで | 技能検定3級等または相当する育成就労評価試験 | A2.2相当以上 |
| 特定技能1号 | 製造分野特定技能1号評価試験、育成就労評価試験(専門級)、または技能検定3級 | JFT-Basic A2.2相当以上またはJLPT N4以上 |
技能および日本語能力の試験を受けさせることは育成就労実施者の義務であり、試験費用の負担も求められます。また、育成就労を終了するまでに日本語能力の目標を達成するため、認定日本語教育機関の就労のための課程において100時間以上の授業科目を履修できるよう必要な措置を講じることも必要です。
入国後講習の内容
入国後講習の内容は次のとおりです。原則、総時間数は320時間とされています。
- 日本語
- 本邦での生活一般に関する知識
- 法的保護に必要な情報
- 本邦での円滑な技能の修得に資する知識
監理型育成就労では全ての科目、単独型育成就労では法的保護情報の科目について、入国後講習が業務に従事させる期間より前に行われ、かつ講習期間中は育成就労外国人を業務に従事させないことが求められます。
受入れ人数枠
監理型育成就労の人数枠は次のとおりです。
| 常勤職員の総数 | 基本人数枠 | 優良な実施者(2倍) | 優良+指定区域(3倍) |
|---|---|---|---|
| 301人以上 | 常勤職員数の20分の3 | 10分の3 | 20分の9 |
| 201人〜300人 | 45人 | 90人 | 135人 |
| 101人〜200人 | 30人 | 60人 | 90人 |
| 51人〜100人 | 18人 | 36人 | 54人 |
| 41人〜50人 | 15人 | 30人 | 45人 |
| 31人〜40人 | 12人 | 24人 | 36人 |
| 9人〜30人 | 9人 | 18人 | 27人 |
| 8人 | 9人 | 18人 | 24人 |
| 7人 | 9人 | 18人 | 21人 |
| 6人 | 9人 | 18人 | 19人 |
| 5人 | 9人 | 15人 | 16人 |
| 4人 | 9人 | 12人 | 13人 |
| 3人 | 9人 | 10人 | 11人 |
| 2人 | 6人 | 7人 | 8人 |
| 1人 | 3人 | 4人 | 5人 |
「常勤職員」の範囲には、育成就民労外国人および技能実習生(育成就労生のカウントに含みます)は含みません。また、この枠は在籍している育成就労外国人の合計に対する上限であり、1年目から3年目までの合計で管理することになります。
愛知県は原則として指定区域から除外される
3倍枠の要件である「指定区域」については、愛知県は原則として除外されます。東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県・愛知県・大阪府・京都府・兵庫県の8都府県以外の道県は全域が指定区域とされ、これら8都府県内では過疎地域等の一部市町村のみが指定区域とされる仕組みです。
名古屋市内に本店を置く製造業者は、優良な育成就労実施者と認められ、かつ優良な監理支援機関の監理支援を受けたとしても、原則として基本人数枠の2倍までが上限となります。
その他の上乗せ条件
製造業分野固有の要件を整理します。
分野別協議会の加入に代わる措置として、製造業分野では育成就労外国人受入事業実施法人(育成就労登録法人)の構成員となることが求められます。
育成就労外国人受入事業実施法人の構成員となる
製造業分野では、一般社団法人工業製品製造技能人材機構(JAIM)が育成就労登録法人として登録されました。特定技能制度においてもJAIMが同様の役割を担っており、特定技能で既にJAIMに加入している企業は、育成就労でも同じ窓口で対応することになります。
転籍ルール ― 転籍制限期間は2年
製造業分野の本人意向による転籍の制限期間は2年に設定されています。
2年が設定された理由は、製造業分野では技能の修得に一定の期間を要し、計画的な育成と人材確保の両立が必要とされることにあります。
本人意向による転籍が認められるためには、転籍制限期間の経過に加え、一定の水準の技能を修得していること、一定の水準の日本語能力を有すること等の要件を満たす必要があります。また転籍先は同一の育成就労産業分野かつ同一の業務区分の範囲内に限られ、転籍先の事業者にも要件が課されます。
転籍時の職業紹介は監理支援機関、外国人育成就労機構、ハローワークに限定されます。
特定技能1号への移行
育成就労制度は特定技能制度への移行を前提に設計されています。育成就労終了時に求められる技能水準は特定技能1号の技能要件と実質的に同等であり、日本語についても育成就労終了時のA2.2相当以上という水準が特定技能1号の要件と対応しています。
育成就労で計画どおりに技能と日本語を修得すれば、そのまま特定技能1号へ接続が可能です。育成就労終了時の試験に不合格となった場合には、一定の要件の下、再受験のために最長1年間の在留継続が認められます。
雇用形態については、製造業分野は特定技能・育成就労のいずれも直接雇用に限られます。
名古屋・愛知の製造業が今から進めるべき準備
愛知県は自動車・航空機・工作機械・繊維・窯業など製造業の集積地であり、対象となる事業者が全国で最も多い地域の一つです。優先順位をつけて準備を進めることをお勧めします。
最優先で行うべきは、自社の事業所が76産業分類に該当するかの確認です。
次に、受け入れたい業務が業務区分のいずれに該当するか、そしてその業務区分で設定される主たる技能と必須業務を確認します。この際、将来的に特定技能2号への移行を視野に入れるのであれば、機械金属加工・電気電子機器組立て・金属表面処理の3区分に該当するかも重要です。
よくある質問
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現在受け入れている技能実習生は、そのまま育成就労に移行できますか。
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2027年4月1日の施行日時点で技能実習を行っている技能実習生については、経過措置が設けられており、現行の技能実習計画に基づいて実習を継続できます。制度移行にあたっては一定の移行期間が設けられる扱いです。
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