【まとめ】育成就労 飲食料品製造業分野の分野別運用方針・上乗せ基準

育成就労制度は、2027年4月1日から運用が開始されます。

飲食料品製造業分野は、特定技能でも多くの外国人を受け入れている分野であり、育成就労への移行がもたらす影響も最大級になります。

飲食料品製造業分野における育成就労の位置づけ

育成就労は、特定技能1号の水準の技能を有する人材を3年間の就労を通じて育成し、あわせて分野の人材を確保することを目的とする在留資格です。

キャリアパスの観点では、この分野には特定技能2号が設定されています。したがって、育成就労(3年)から特定技能1号(通算5年)を経て特定技能2号に進めば、在留期間の更新回数に制限がなくなり、要件を満たせば配偶者・子の帯同も可能になります。

受入れ見込数と人手不足の状況

分野別運用方針は、令和10年度に飲食料品製造業分野で必要となる就業者数を195万7,000人と見込んでいます。生産性向上により3万8,200人程度、国内人材確保により5万5,300人程度の人手不足緩和を図ってもなお、19万4,900人程度の人手不足が見込まれるとされています。

受入れを検討している事業者は、制度開始直後の集中を見越して、できるだけ早い段階で準備を進めておくことが重要です。

業務区分と従事できる業務

飲食料品製造業分野の業務区分は、飲食料品製造業全般」の1区分でしたが、令和9年4月1日以降は「飲食料品製造業」と「水産加工業」の2区分に分割されます。

育成就労外国人が従事する業務は、飲食料品製造業の区分では飲食料品(酒類を除く)の製造・加工および安全衛生の確保、水産加工業の区分では水産加工品の製造・加工および安全衛生の確保です。

ここでいう「製造・加工」とは、原料の処理、加熱、殺菌、成形、乾燥等の一連の生産行為をいい、水産加工業の場合はこれに冷凍冷蔵が加わります。単なる選別や包装(梱包)のみの作業は製造・加工に当たりません

日本人が通常従事する関連業務(原料の調達・受入れ、製品の納品、清掃、事業所の管理の作業など)に付随的に従事することは差し支えありませんが、専ら関連業務に従事させることは認められません。

総合スーパーマーケットおよび食料品スーパーマーケットに該当する事業所では、関連業務としても販売業務に従事させることはできないという特則があります。

対象となる事業所の範囲

上乗せ基準告示の中で、育成就労を行わせる事業所が日本標準産業分類に掲げる産業のうち、次のいずれかを行っているものであることを求めています。

対象とならない業種も明確です。酒類製造業、各種商品小売業(細分類5621を除く)、飲食料品小売業(小分類583、細分類5861・5863・5896を除く)、飲食料品卸売業、塩製造業、医薬品製造業、香料製造業、ペットフードの製造は対象になりません。

技能水準と日本語能力水準

育成就労では、就労開始時、1年経過時、終了時という節目ごとに技能水準と日本語能力水準が段階的に確認されます。

なお、1年経過時の試験は不合格でも育成就労を継続できます。ここで在留が打ち切られるわけではありません。一方、育成就労終了時の試験に不合格となった場合は、一定の要件の下で再受験のため最長1年間の在留延長が認められます。

入国後講習の内容と時間数

監理型育成就労の場合、入国後講習の総時間数は日本語能力の有無と入国前講習の実施状況により次のように変わります。

講習科目は、日本語本邦での生活一般に関する知識、出入国または労働に関する法令の規定に違反していることを知ったときの対応方法その他の法的保護に必要な情報本邦での円滑な技能の修得に資する知識の4科目です。

これとは別に、育成就労実施者には、育成就労外国人がA2相当の日本語能力の試験に合格するため、認定日本語教育機関の「就労」課程でA2目標講習を100時間以上履修できるよう必要な措置を講じる義務があります。

受入れ人数枠

監理型育成就労の受入れ人数枠は、育成就労実施者の常勤職員の総数に応じて次のように定められています。この枠は1年目から3年目までの育成就労外国人の合計に対する上限となります。

常勤職員の算定では、育成就労外国人および技能実習生は含めません。一方、特定技能外国人や技術・人文知識・国際業務などの在留資格で就労する外国人は常勤職員に含まれます。

3倍枠の適用条件である「指定区域」は、東京・神奈川・千葉・埼玉・愛知・京都・大阪・兵庫の8都府県以外の39道県全域に加え、8都府県内の過疎地域が含まれます。

上乗せ条件

飲食料品製造業分野の上乗せ基準告示は、工業製品製造業分野のような受入事業実施法人への加入義務や詳細な体制基準を設けていません。定めているのは次の2点です。

育成就労の内容の基準

外国人と雇用契約を締結するに当たり、育成就労外国人のキャリアアップを図るための計画について書面を交付または提供して説明していることが求められます。ここでいうキャリアアップとは、職務経験または職業訓練等の職業能力の開発の機会を通じ、職業能力の向上ならびにこれによる将来の職務上の地位および賃金をはじめとする処遇の向上が図られることを指します。

育成就労を行わせる体制の基準

次の3つのすべてに該当することが求められます。

  • 飲食料品製造業分野に係る分野別協議会において協議が調った事項に関する措置を講ずることとしていること
  • 協議会に対し必要な協力を行うこととしていること
  • 農林水産大臣またはその委託を受けた者が行う調査、指導、情報の収集、意見の聴取その他業務に対して必要な協力を行うこととしていること

この分野別協議会は、加入が義務づけられているもので、飲食料品製造業分野と外食業分野が共同で設置する「食品産業育成就労協議会」です。

特定技能の食品産業特定技能協議会とは別組織であるため、既に特定技能で協議会に加入している事業者も、育成就労については改めて加入手続が必要です。

転籍ルール

育成就労制度では、技能実習と異なり本人の意向による転籍が認められます。ただし無制限ではなく、転籍制限期間の経過、技能水準・日本語能力水準の充足、同一業務区分内であることなどの要件を満たす必要があります。

飲食料品製造業分野の転籍制限期間は2年です。 基本方針は転籍制限期間を1年とすることを目指しつつ、当分の間は分野ごとに1年から2年までの範囲内で設定することとしています。

なお、転籍制限期間内であっても、育成就労実施者の倒産や人権侵害などのやむを得ない事情がある場合の転籍は従来どおり認められます。

特定技能1号への移行

育成就労を終了した外国人が特定技能1号に移行するには、技能水準として特定技能1号評価試験または育成就労評価試験(専門級)に合格し、日本語能力水準としてA2.2相当以上を満たす必要があります。育成就労を適切に修了すれば、そのまま特定技能1号の技能要件を満たす設計になっています。

育成就労終了時の試験に不合格となった場合でも、一定の要件の下で再受験のために最長1年間の在留延長が認められます。

さらにこの分野では特定技能2号への道も存在します。特定技能2号は、特定技能2号評価試験の合格に加えて、複数の従業員を指導しながら作業に従事し工程を管理する者としての実務経験(2年以上)が必要で、日本語能力水準はB1相当以上です。2号に移行すれば在留期間の更新回数に制限がなくなり、要件を満たせば配偶者・子の帯同も認められます。

愛知・名古屋の食品製造事業者が今から準備すべきこと

愛知県は食料品製造業の事業所数・従業者数ともに全国上位の地域であり、名古屋市内および周辺には惣菜製造、製麺、菓子製造、味噌・醤油などの調味料製造を手がける中小事業者が多数集積しています。技能実習生の受入れも多く、育成就労への移行準備は急務です。

  • 自社の事業所が日本標準産業分類上の対象分類に該当するかを確認
  • 在籍する技能実習生の人数と在留期限を棚卸しし、受入れ人数の計算
  • 食品産業育成就労協議会の加入準備

スムーズな受け入れを行うためには、早期からスケジュールを立て準備を始めることが重要です。

よくある質問

現在受け入れている技能実習生は、令和9年4月以降どうなりますか。

施行日時点で技能実習を行っている技能実習生については経過措置が設けられ、引き続き技能実習として在留を継続できます。ただし、受入れ人数枠の計算においては、技能実習生の数が育成就労外国人の数として計算されます。

育成就労制度の概要

【まとめ】育成就労 工業製品製造業分野の分野別運用方針・上乗せ基準

事務所名 みらい行政書士事務所
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