【まとめ】育成就労 建設分野の分野別運用方針・上乗せ基準

技能実習制度は発展的に解消され、2027年4月1日から育成就労制度の運用が始まります。

建設分野については、分野別運用方針で受入れ見込数や技能・日本語の水準、転籍制限期間が定まり、上乗せ基準告示で、建設業許可や建設キャリアアップシステム(CCUS)登録、受入人数枠といった建設分野固有の基準が定まりました。

建設分野は、育成就労外国人の受入れ見込数が17分野中で最大の12万3,500人となる一方、CCUSへの登録や2年の転籍制限に伴う昇給義務など、他分野には見られない上乗せ条件が課されています。

建設分野における育成就労制度の位置づけ

育成就労制度は、人手不足分野における人材の育成・確保を目的として創設された制度です。基本的に3年間の育成期間を通じて、特定技能1号の水準に達する人材へ育てることを制度の目的としています。

建設分野には特定技能2号が設けられているため、育成就労(3年)から特定技能1号(通算5年)を経て特定技能2号(更新回数の上限なし)へ進む長期キャリアパスが制度上用意されている分野です。

なお、技能実習から育成就労への移行は認められていません。技能実習は経過措置のもとで完結させ、修了後に特定技能1号へつなぐ設計となります。

受入れ見込数と人手不足の状況

生産性向上と国内人材確保の取組を行ってもなお埋まらない人手不足の範囲で外国人を受け入れる構造をとっています。建設分野の状況は次のとおりです。

前提となる人手不足の推計は、令和10年度に必要となる建設技能者数が約312万人に対し、同年度の建設技能者数は約276万人まで減少し、36万人程度が不足するというものです。

ICT活用等による生産性向上で14万9,000人程度、処遇改善等による追加的な国内人材確保で1万1,500人程度を埋めても、なお20万人程度の人手不足が見込まれるとされています。

業務区分と従事できる業務

建設分野の業務区分は、土木、建築、ライフライン・設備の3区分で、特定技能制度と同一です。技能実習のような細分化された職種・作業単位ではなく、建設業に係る作業を3区分に整理したものになっています。

本人の意向による転籍は同一の業務区分内に限られるため、この3区分が転職の範囲になります。なお、これらの業務に従事する日本人が通常従事することとなる関連業務に付随的に従事することは差し支えないとされています。

雇用形態は直接雇用に限られ、派遣による受入れはできません。

技能水準と日本語能力水準

育成就労は節目ごとに達成すべき水準が定められており、建設分野は次のとおりです。

A1はおおむね日本語能力試験N5相当、A2.2はN4相当とされています。

入国後講習と労働安全衛生

上乗せ基準告示では、育成就労の内容に関する建設分野固有の基準として、入国後講習において労働災害の防止ならびに労働者の安全および健康の確保その他の労働安全衛生に関する講習を実施することを求めています。

これは、建設業が他産業と比べて外国人の労働災害発生率が高いという実態を踏まえたものです。

日本語講習については、全分野共通のルールとして、A1相当の試験に合格していない場合はA1相当講習を100時間以上、さらに就労期間中にA2目標講習を100時間以上履修できる措置を講じることが求められ、その費用は育成就労実施者の負担とされています。

受入人数枠

育成就労外国人の数の上限は常勤職員総数の区分に応じて定められています。ここでいう常勤職員には、育成就労外国人および1号特定技能外国人は含みません。

企業単独型育成就労(一定の体制について出入国在留管理庁長官および厚生労働大臣の認定を受けていない場合)は、常勤職員総数の20分の3、優良と認められる場合は10分の3(いずれも3未満のときは0)となります。

監理型育成就労(および上記の認定を受けた企業単独型)については、次の表のとおりです。

優良と認められるかどうかは、技能および日本語能力の修得に係る実績、育成就労を行わせる体制、育成就労外国人の待遇、出入国または労働に関する法令違反や行方不明者の発生状況、相談・保護・支援の体制と実施状況、地域社会との共生に向けた取組の状況を総合的に評価して判断されます。

育成就労実施者に特に課される条件

分野別運用方針および上乗せ基準告示により、建設分野の育成就労実施者には次の条件が課されます。

  • 建設許可を受けていること
  • 建設業法に基づく監督処分を受けた日から5年を経過しない者でない
  • 自社と受け入れる育成就労外国人の双方をCCUSに登録する
  • 育成就労外国人等が十分に理解できる言語で所定の様式により重要事項の説明を行っている
  • 入国後講習で労働安全衛生に関する講習を実施すること

体制面では、

  • 育成就労外国人が従事する建設工事において自社が下請負人である場合には発注者から直接工事を請け負った建設業者の指導に従うこ
  • 建設分野に係る分野別協議会において協議が調った事項に関する措置を講ずる
  • 協議会に対し必要な協力を行う
  • 国土交通大臣またはその委託を受けた者が行う調査・指導・情報収集・意見聴取その他の業務に必要な協力を行うこと

待遇面では、同等の業務に従事する日本人と同等額以上の報酬を安定的に支払うことが基準です。

協議会については、国土交通省が建設分野育成就労協議会を組織しており、育成就労実施者は加入が必要です。ただし、特定技能外国人受入事業実施法人である一般社団法人建設技能人材機構(JAC)に所属している育成就労実施者は、協議会に加入しているものとして扱われます。

転籍ルール(制限期間2年と昇給義務)

育成就労制度では、同一の育成就労実施者のもとで一定期間就労したなどの要件を満たす場合に、本人の意向による転籍が認められます。

この転籍制限期間は1年とすることを目指しつつ、当分の間は分野ごとに1年から2年の範囲で設定することとされており、建設分野は上限の2年です。

建設分野が2年とされた理由として、必要な技能の修得に相応の時間を要すること、工事の施工期間が1年を超えることもあること、都市部と比べて地方部の離職者率が高く地方部における定着を促す必要があること、他産業と比べて外国人の労働災害の発生率が高く労働安全衛生教育に一定の時間をかける必要があることが挙げられています。

制限と引き換えに課されるのが待遇向上策です。毎年、建設分野に係る分野別協議会において、建設業の前年の平均賃金の上昇率を基準に昇給率が設定・公表され、1年を超える転籍制限期間を設定する育成就労実施者は、在籍する育成就労外国人の所定内賃金を1年目から2年目にかけて、その昇給率以上に昇給させることとされています。

特定技能1号への移行

育成就労終了時に求められる水準は、特定技能1号で求められる水準と同等に設定されています。技能面は特定技能1号評価試験または育成就労評価試験(専門級)の合格、日本語はA2.2相当以上です。この要件を満たせば特定技能1号へ移行できます。

長期的なキャリア形成については、国土交通省が関係業界と協働して「育成・キャリア形成プログラム」を策定し、これを踏まえて各受入企業が「キャリア育成プラン」を策定・運用することが望ましいとされています。

愛知・名古屋の建設業者が今すぐ着手すべき準備

愛知県は建設投資規模が大きく、特定技能外国人の受入れ実績も多い地域です。

まず着手すべきは、CCUSの事業者登録と技能者登録。次に、建設業許可の取得や更新時期の確認です。

そのうえで、常勤職員総数を棚卸しして受入人数枠を算定します。賃金面では、日本人と同等額以上の報酬を書面で示せる状態にしておく必要があります。JACへの(または建設分野育成就労協議会(詳細公表待ち))加入手続、監理支援機関の選定、入国後講習における労働安全衛生講習と日本語講習の実施体制の確保も並行して進める作業です。

よくある質問

現在受け入れている技能実習生はどうなりますか。

施行日前に入国して施行日時点で現に技能実習を行っている場合は引き続き技能実習を行えます。

育成就労外国人を派遣で受け入れることはできますか。 

できません。建設分野の雇用形態は直接雇用に限られます。

 すでにJACに所属していれば協議会への加入手続は不要ですか。

JACに所属している育成就労実施者は建設分野育成就労協議会に加入しているものとして扱われます。(変更の可能性がありますので、必ず最新の情報をご確認ください)

育成就労制度の概要

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